人を知る

1年目の1年間

入省後の1年間は、どんな日々を過ごすのでしょうか。
このページでは、新入職員の入省1年目にスポットを当て、1年間の流れとどんな業務を行うのかをご紹介します。

政策の基礎を学び、現場を知った1年目。
食品ロス削減の仕組みづくりに挑む。

今田祥子
大臣官房 新事業・食品産業部
外食・食文化課
食品ロス・リサイクル対策室 係員

令和5年入省/総合職農業科学・水産
農学部

入省理由

学生時代から食品ロス削減に関心があり、政策講演会で「企業に食品ロス削減の取組を促せるのは国だけ」という話を聞きました。行政の役割の大きさを実感し、国の施策を通じて社会に貢献したいと考え、入省を決意しました。

現在のしごと内容

事業系食品ロスの削減に向け、国際会議資料の確認や白書の作成、資料作成など多岐にわたる作業を行っています。また、食品リサイクルの推進のための優良事業者の登録制度の運用も担当。国会対応や大阪万博での食品ロス削減の啓発活動にも取り組んでいます。

学生時代に力を入れたこと

生協学生委員会に所属し、学生の生活向上に向けた活動に取り組みました。特に、食生活の改善を目的とした自炊教室の企画運営に注力。献立作成や運営の工夫を重ねる中で、食の課題に関心を持つきっかけになりました。

STEP01
入省・研修スタート

入省後の研修では、社会人としての基本マナーや文書の取り扱いを学ぶとともに、農水省の主要な政策について理解を深めました。特に印象的だったのは、合理的根拠に基づく政策立案のグループワークです。政策は作って終わりではなく、実施後の評価と改善が不可欠であり、政策の実行と評価の重要性を体感しました。さらに、全省庁から1年目が集まる、省庁合同研修では幼児教育の政策立案に挑戦。専門外の分野に触れ、法律や制度の観点から考える経験を積みました。

政策立案のグループワークでは同期の発言の速さに圧倒されながらも、施策の実行と評価の重要性に気づくことで視野が広がりました。さらに、地方研修では、広島県廿日市市に訪問。観光地ならではの税収の使い方や、自治体独自の施策を学びました。実際に政策の現場に触れたことで、自分が携わる仕事の広がりを実感。研修を通じて、国の施策によって地方の施策の方向性も決定するため、国の役割の重みを再認識しました。

STEP02
初めての業務を任される

班に配属され、初めて自分が担当した業務は、食品ロス削減のため、75業種に分類された食品業界ごとに適切な食品廃棄物の発生量の基準を設定するというものでした。まずは過去に用いられた計算方法を洗い出し、それぞれのメリット・デメリットを整理することから始めました。その上で、「どの方法が実態に即しているか?」を議論しながら、より正確な基準を導き出す作業を進めました。単なる数値の算出ではなく、業界全体が納得できる基準にするための調整も必要で、試行錯誤を重ねていきました。

初めての大きな業務に、責任の重さを感じましたね。自分が導き出す数値が、業界全体の指標になる。その影響の大きさを考えると、不安もありました。最初は統計の知識も乏しく、何を基準に判断すべきか迷う場面も多かったですが、上司と議論を重ねるうちに、少しずつ政策としての形が見えてきました。最終的に審議会で基準が承認されたとき、自分の仕事が社会に影響を与えるという実感が湧き、政策づくりの責任とやりがいを強く感じましたね。

STEP03
国会対応を経験

秋に入り、初めて国会対応の業務を経験しました。食品ロスやフードバンク支援に関する質問が出され、短時間で答弁案を準備する必要がありました。まず、過去の答弁例や関連資料を精査し、政策の背景や論点を整理しました。国会は、国として何を行っているのかお伝えする場であり、簡潔にわかりやすい答弁を作成する重要性を学びました。

初めての国会対応は、これまで経験した業務とはまったく異なり、プレッシャーを感じました。限られた時間の中で答弁を準備するため、スピードと正確さの両方が求められました。関係課と調整して答弁を作成する必要がある問も多くあったため、迅速に調整しつつ答弁を作成することが大変でした。また、答弁作成のための段取りが多いため、抜け漏れなく作業を進めるために部署内でも状況を共有しミスなく進められるように心がけました。

STEP04
政策が法律になる瞬間を経験

食品ロス削減の基準づくりに引き続き取り組む中で、業界ごとの実態を考慮しながら、審議会や関係団体へ説明を行い、意見を取り入れながら基準の調整を進めていました。その後、審議会で基準が承認され、国民からの意見を募るパブリックコメントを実施。最終調整を経て、法令審査官と協議しながら告示の条文を確定し、正式に制度として制定されることになりました。基準づくりに取り組み続けたことで、政策がどのように社会に適用されていくのか、そのプロセスを深く理解することができました。

審議会や関係団体への説明を通じて、政策が現場に与える影響をより強く意識するようになりました。業界の意見を聞きながら調整を重ねる中で、政策の実行には多くの視点が必要であることを実感しましたね。最終的に基準が告示として公表されたとき、安堵とともに達成感が込み上げました。自分の仕事が社会に反映される瞬間を目の当たりにし、政策を形にする責任の大きさを改めて認識するとともに、これまで積み重ねてきた議論が、ようやく一つの成果として形になったと感じました。

これからに向けて

現場の声を聞きながら、
広い視野で政策を実行していきたい

1年目は政策の基礎を学び、基準づくりや国会対応を経験しました。2年目以降は、現場でどのように制度が運用されているかを意識しながら仕事に向き合いたいと考えています。2年目で行った農村派遣研修では、生産者の声を直接聞くことで、政策が現場に与える影響を実感しました。今後は、そこで得た知見を業務に活かし、より実態に即した政策のあり方を考えていきたいと思います。また、後輩をサポートする場面も増えてくるため、学びながら経験をつなげていく意識を持ち、より成長していきたいです。

畜産業の未来を支え、
制度の運用を現場の視点で考える

水野つかさ
畜産局 食肉鶏卵課 係員

令和5年入省/畜産系技術職(一般職試験(大卒)相当)
農林海洋科学部

入省理由

幼いころから好きだった動物に関わりたいと感じ、大学で畜産を専攻しました。日々、研究や肉用牛の飼養管理を行う中で畜産における課題を目の当たりにするとともに、政策の重要性を実感しました。日本の畜産における諸課題を解決するため、施策の企画立案を通じて仕組みの根幹に働きかけることができる国の仕事に魅力を感じ、入省を決めました。

現在のしごと内容

肉用子牛の生産の安定を図ることを目的とする「肉用子牛生産者補給金制度」を担当しています。生産者への補給金の交付を左右する「平均売買価格」を四半期ごとに算出する他、制度の運用改善に向けた諸通知の改正や関係団体との調整・意見交換も行っています。

学生時代に力を入れたこと

大学の研究室では土佐あかうし(褐毛和種高知系)の飼養管理を行うとともに、希少家畜の遺伝資源保存や再生に関する新たな技術開発について研究を行いました。その他、特産品の残渣を使用した飼料給餌による土佐あかうしの高付加価値化に係る研究にも関わりました。

STEP01
研修を終え、初めての業務を担当

研修を終えて最初に担当したのは、平均売買価格の算出業務でした。肉用子牛価格が下落し、全国の平均売買価格が一定の基準を下回った場合に、生産者に対し補給金を交付する「肉用子牛生産者補給金制度」では、この平均売買価格を四半期ごとに算出・公表します。全国の主要な家畜市場から集まるデータを集計し、数値に誤りがないかを確認しながら、慎重に作業を進めました。システムの操作やデータの扱いに慣れるまでは苦戦しましたが、上司のアドバイスを受けながら試行錯誤を重ね、無事に公表までたどり着いたときは、大きな達成感がありました。

研修では、公務員としての基礎を学びながら、他局の同期と交流できたことが印象的でした。畜産系技術職員採用試験を受験して入省したため、本省で勤務する同期が少なく不安もありましたが、省内につながりができ、心強く感じました。実務に入ると、特に、自分が算定した平均売買価格が補給金の交付を左右することに責任感を強く覚えましたが、上司に支えてもらいながら作業を進めるうちに、だんだんと業務の流れが掴めていきました。公表資料に自分の名前が載ったとき、自分の仕事が社会につながる実感を持てました。

STEP02
価格の変動に向き合い、市場の動きを分析

諸物価の高騰や牛肉需給の変化といった複数の要因が重なり、令和4年5月以降、黒毛和種の子牛価格の下落が続きました。その結果、黒毛和種の平均売買価格が一定の基準を下回り、21年ぶりに補給金が交付されることになりました。子牛価格の下落が続く中、平均売買価格の算定業務の他にも、全国の主要な家畜市場の子牛価格を集計しており、市場の実態を把握するため、市場関係者への聞き取り等により肉用子牛の取引状況や生産者の声を聞きました。現場の視点を踏まえることで、価格動向の背景をより深く理解できました。

実際に生産者や市場関係者と話をすると、肉用子牛価格の下落が生産者の経営にどれほど影響を与えているのかが痛いほど伝わってきました。市場の動きを数字で捉えることはできても、その裏にある人々の思いや苦労は、実際に現場の声を聞かなければ見えてこないもの。単にデータを扱うだけでなく、現場の声を知り、政策にどう活かすかを考える視点を持つことの大切さを実感しました。

STEP03
国会対応を経験

初めて国会対応を行いました。国会では畜産関連の政策について質問が出され、短時間で答弁資料を作成する必要がありました。過去の答弁や関連資料を精査し、政策の根拠を整理したうえで、正確かつ簡潔に伝える表現を考えました。作成した答弁案は、上司の主導の下、関係部署とすり合わせ等を行い、細かな表現を調整しながら仕上げていきました。特に、発言の一言一句が政策の印象を左右するため、慎重な言葉選びが求められました。

国会対応は、想像していた以上にタイトなスケジュールでした。該当する質問が何問もあり、慌ててしまう場面もありましたが、限られた時間の中で最善を尽くすしかないと担当班内だけでなく課内の皆で奮闘し、なんとか乗り越えることができました。議場で自分の作成した資料が使われたことに、責任の重さを改めて感じました。政策は、ただ作るだけではなく、どう伝えるかが重要だということを身をもって学んだ経験でした。

STEP04
災害対応を経験し、迅速な調整の重要性を知る

能登半島地震に伴い、被災地域の農林水産業への影響を把握し、「肉用子牛生産者補給金制度」における支援策を検討しました。発災以降、関係団体とも連携して必要な支援策の調整を行い、災害時の特例的な措置を設けました。被災地の状況が刻々と変化する中、迅速に的確な支援策を判断し、対応を進めなければならない難しさを実感しました。

被災地の状況を知るほど、「少しでも早く支援策を届けたい」という思いが強まりました。一方で、焦る気持ちを抑えつつ、慎重に対応を進める必要がありました。関係団体との調整を重ねる中で、机上のデータだけではなく、実際の被害状況や現場の声に即した対応が求められることを痛感。支援策が動き出したときにはほっとしたものの、災害時に機動的に対応できるよう、日頃から、過去の事例に学び、支援策を検討しておくことも重要だと改めて感じた経験でした。

これからに向けて

制度を現場の視点で捉え、よりよい運用を

1年目は、制度の運用を支える業務に携わり、データの整理や分析だけでなく、関係者と調整しながら進めることの大切さを学びました。2年目以降は、より実務に近い立場で、関係団体と直接やり取りをする機会が増えると思います。支援策や制度は、整備されるだけでなく、現場で使われて初めて意味を持つもの。そのため、より一層現場の視点を意識し、制度に関わる方々が効率的に業務出来るよう運用改善にも尽力したいと考えています。
また、2年目以降は、私自身が上司にしていただいたよう、後輩をサポートするとともに自分自身も学びを深め、政策の流れをより広い視点で捉えられるようになりたいです。

農業に携わる女性の努力を伝え、
農業の未来をより持続可能なものにしていく

濱野 真衣
経営局 就農・女性課 女性活躍推進室 係員

令和5年入省/一般職行政
文学部

入省理由

茨城県出身で農業が身近な環境で育ち、高齢化による離農や農地の減少を目の当たりにしました。こうした課題に対し、農業を支え、盛り上げる仕組みづくりに関わりたいと考え、政策の運営に携われる農林水産省を志望しました。

現在のしごと内容

「農山漁村女性活躍表彰」や「農林水産祭」の運営を担当し、受賞者の選考や式典の準備・進行に携わっています。さらに、女性農業者の活躍を支援する「農業女子プロジェクト」の推進にも関わり、関係者との調整や情報発信を担当しています。

学生時代に力を入れたこと

哲学を学び、美学や芸術の価値について議論するゼミに所属。新たな視点に触れ、考えを深める楽しさを知りました。また、バドミントンサークルでは、勝ち負けにこだわらず仲間と楽しみながらプレー。学問とサークルの両方を充実させました。

STEP01
研修を終え、表彰業務の準備を進める

研修を終え、「農山漁村女性活躍表彰」と「農林水産祭」の運営に携わりました。「農山漁村女性活躍表彰」は、農業・漁業・林業で活躍する女性を称える制度、「農林水産祭」は、農林水産業の発展に貢献した個人・団体を顕彰する国民的な祭典です。まずは制度の目的や選考の流れを学びながら、推薦要項の確認や審査資料の作成や事務を担当。業務の進め方に戸惑うこともありましたが、上司に助けてもらいながら、審査基準を理解し、候補者の功績を整理しました。

最初は、書類整理や審査資料の作成など、地道な業務が続くことに戸惑いました。しかし、候補者の活動を知る中で、「この表彰には、現場で努力を続ける人たちの思いが詰まっている」と感じるようになりました。上司と相談しながら業務を進めるうちに、審査に向けた準備が、受賞者の活動を正しく評価し、広めるための大切な工程であることを実感。自分の仕事が表彰の意義を支えていることを意識するようになりました。

STEP02
現地に足を運び、現場の視点をインプット

表彰の準備が進む中で、農林水産祭の受賞候補者を決めるための会議に参加し、現地調査の手配を担当しました。現場での取組を直接確認することが重要であり、調査のスケジュール調整や資料の準備を行いました。また、出張先では、審査員や関係者とともに生産現場を訪問し、候補者の活動をヒアリング。実際に取組を見ることで、資料だけでは伝わらない現場の工夫や課題を知ることができました。

初めての出張は緊張の連続でしたが、生産者の方々が日々どのような思いで取り組んでいるのかを直接聞くことで、表彰が単なる成果の評価ではなく、農林水産業を支える意義のある取組であることを実感しました。現場での取組を目の当たりにし、これまでデータや資料で見ていた情報が、より鮮明に感じられるように。関係者との調整の難しさもありましたが、表彰に向けた準備が、現場の努力を広めるための大切なステップであることを改めて意識するようになりました。

STEP03
農業女子プロジェクトのイベント運営を担当

農林水産省が推進する「農業女子プロジェクト」の10周年イベントの運営に携わりました。このプロジェクトは、女性農業者の活躍を支援し、企業や社会との連携を深める取組です。業務では、イベントの企画立案や運営準備、関係者との調整を担当。当日の進行スケジュールを班員とともに作成し、登壇者との連絡や資料作成など、多岐にわたる業務をこなしました。また、推進会議の開催にも関わり、プロジェクトの今後の方針について議論が交わされる場に立ち会いました。

これまでの業務とは異なり、多くの関係者と連携しながらイベントを作り上げる仕事でした。準備段階では思い通りに進まないこともあり、調整の難しさに直面。しかし、チームで試行錯誤を重ねるうちに、少しずつ形になっていくのを感じました。イベント当日、登壇者が自らの経験を語る姿や、参加者が熱心に耳を傾ける様子を見て、このイベントが農業に携わる人々の新たなつながりを生み出す場になっていることを実感。多くの人と協力しながら一つのイベントを成功させる喜びを味わうとともに、準備段階の積み重ねが本番で実を結ぶことの大切さを学びました。

STEP04
裏方の仕事の重要性を実感

これまで準備を重ねてきた農山漁村女性活躍表彰の表彰式がいよいよ近づき、表彰式当日に向けた準備と進行管理を行いました。受賞者の活動内容を整理し、表彰式の進行表や来賓向けの説明資料を作成。さらに、関係者との連絡調整を進め、スムーズな式の運営を支える役割を担いました。また、当日は受付や会場の運営を担当し、受賞者や来賓の方々をサポート。これまで準備してきた表彰が形になる瞬間に立ち会い、裏方として支える仕事の重要性を実感しました。

式典当日、受賞者が登壇し、これまでの取組を語る姿を見て、資料だけでは伝わらなかった想いの強さを感じ、胸が熱くなりました。「ここまで頑張ってきてよかった」という言葉に、表彰が努力を讃え、社会に広める大切な機会になっていること。また、受賞者同士が喜びを分かち合う様子を見て、この場が同じ志を持つ人々をつなぐ場にもなっていることに気づきました。裏方として支える仕事が、こうした瞬間を生み出す一助になっていると感じ、自分の業務の意味を深く考える機会となりました。

これからに向けて

現場の声を直接聞き、
より実感を持ちながら仕事をしていきたい

1年目は、表彰制度の運営を通じて、農林水産業のさまざまな現場で活躍する人々と関わる機会がありました。受賞者の取組を知るたびに、「もっと現場に足を運び、直接話を聞いてみたい」という思いが強くなりました。また、2年目には高知県での研修を経験し、実際に生産者と対話することで、現場の課題や政策の影響を肌で感じる機会が増えました。今後は、こうした経験を生かし、現場の視点を大切にしながら、より実感を持って取り組める仕事をしていきたいです。

1年目で政策の最前線を経験。
その学びを次の挑戦へ

坂口 陽一朗
水産庁 漁政課 係員

令和5年入省/ 総合職教養
文学部

入省理由

出身地である熊本で被災した際、食料が不足するのを目の当たりにしたことをきっかけに、食の重要性を再認識したことが最も大きなきっかけでした。生命に直結する「食」を守りたいという思いや、多様な地域資源を持つ農村地域を魅力あるものにしたいという思いから、農林水産省を志望しました。

現在のしごと内容

「『食』と『環境』を未来の子どもたちに継承する」というビジョンのもと、現場と霞が関の視点を往復させながら、よりよい社会づくりに貢献できるよう努めています。現在は総合職事務系の採用担当として農水省を紹介しつつ、学生の皆さんの進路選択のお手伝いをしています。また、職員が働きやすい環境づくりにも秘書課として取り組んでいます。

学生時代に力を入れたこと

大学では心理学を専攻し、人間の行動や認知の研究に取り組みました。特に卒論では「生き物への嫌悪感と個人の嫌悪感受性の関連」をテーマに、研究活動を行いました。幼少期から生き物に親しんできた経験を活かし、研究を通じて人と動物の関わりについて深く考えました。

STEP01
研修と初めての業務に挑戦

農林水産省に入省し、省内外の研修を受けながら、社会人としての基礎や政策の仕組みを学びました。入省してすぐに国会対応や総括業務に早速携わり、実務を通じて業務の流れを学びました。業務内容としては、資料の取りまとめや関係各所との調整を行い、限られた時間の中で正確な情報を整理する力が求められました。 上司や先輩の指導を受けながら、少しずつ仕事の流れを掴み、社会人としての第一歩を踏み出しました。入省当初に教わった社会人としての心構えは、今でも業務遂行の軸になっています。

入省直後は、業務の流れや求められるスピード感に圧倒される日々でした。目の前の業務をこなすことに精一杯で、「これで大丈夫なのか?」と不安を感じることも多くありました。そんな中、上司から「まずはゴールを見定めて動くことが大事」と助言を受け、業務の目的を理解した上で、どのように進めるべきかを考える意識が芽生えました。言われたことをこなすだけでなく、主体的に考えて取り組むことの大切さを学ぶことができましたね。

STEP02
国会対応を経験(法改正のための国会審議)

入省後まもなくで、「法案審議」と呼ばれる、法改正に関わる国会対応業務に携わりました。法改正に向けて庁内が一丸となって動く中で、円滑な国会審議を進めるための庁内調整に取り組みました。慣れない業務に緊張しながらも、上司や関係部署と連携しながら調整を進め、自分の業務が国の方向性を位置づけるための一部になっているという実感と責任感を感じながら仕事に励むことができました。

国会対応での業務で特に意識したのは、「1回のメールで全員が動けるようにすること」です。余計なやりとりを減らし、必要な情報を的確に伝えることで、スムーズな調整を心掛けました。業務の精度が庁内の国会対応の進行に影響を与えるため、責任の重さを実感しましたね。そのため、分からないことはすぐに上司に確認し、確実な情報整理と適切な指示を徹底しました。細部まで意識した調整を積み重ねることで、業務が円滑に進むことを改めて感じました。

STEP03
現場への視察と、関係者との調整を行う

ALPS処理水の海洋放出に伴い、水産庁でも対応が求められる中、組織の一員として、資料作成や省内外の調整に奔走しました。また、特に影響を受けた漁業現場の実態を把握するため、与党議員とともに現場視察にも行きました。行程の作成や現地の情報収集を担い、漁協関係者と意見交換を行う場の調整にも関わりました。霞が関と現場をつなぐ立場として、多くの関係者と連携しながら現地の声を政策に反映させる重要性を強く意識しました。

ALPS処理水の海洋放出に係る一連の対応を通して、現場の実態を正しく把握し、政策に反映させる難しさを実感しました。資料作成一つにおいても、データを整理するだけでなく、政策の意図を正しく伝えるための言葉の選び方や表現の工夫が求められるということを目の当たりにしました。また、現場視察では、漁業者の方々の不安や率直な意見を直接聞き、霞が関にいるだけでは分からない課題を肌で感じました。政策は決めるだけでなく、現場の信頼を得ながら進めることが重要であると再認識した瞬間でもありました。

STEP04
災害の状況把握と支援策を模索する

元旦に能登半島地震が発生し、能登地域の基幹産業である漁業に甚大な被害が発生したため、国としてどのような対応が可能か検討すべく、課内の中央テーブルに被災地域の地図を広げ、迅速に被災漁港を整理しました。また、現場の被害状況を把握するため、関係自治体や業界団体と連携しながら情報収集を行い、必要な支援策を模索しました。その後、政府の現地対策本部へ派遣。 実際に被災地を訪れ、復旧の進捗を確認しながら、自治体や関係機関と何度も意見交換を重ねました。現場での課題を直接見たことで、被災地支援には迅速かつ的確な対応が求められることを再認識しました。

地震発生後、被災地の情報が十分に入らない中での対応となり、現場の状況を把握しながら迅速に動くことの難しさを肌で感じました。各所から寄せられる様々な情報を整理する中で、机上のデータだけでは見えない現場の実態を改めて意識しました。また、自身も過去に地元で被災した経験があり、被災地の方々の不安や大変さに共感する部分があったため、少しでも早く支援策を届けたいという思いを強く抱きました。

これからに向けて

食と地域の未来を支える存在へ

1年目は、政策が現場にどう影響するのかを学び、迅速な調整や情報整理の重要性を実感しました。2年目からは大臣官房秘書課に異動しましたが、ALPS処理水問題や能登半島地震対応を通じて学んだ、食や地域の魅力を守る視点は、今後も大切にしたいと考えています。今後は、農業や漁業の担い手が減少する中で、現場に直接関わる人だけでなく、食や地域を支えたいと思う人が増えていくような仕組みづくりに取り組みたいです。また、後輩が増えていく中で、気軽に相談しやすい存在になれるよう努めていきたいと思います。